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漆器の美しさは日本人の感性の美しさといっても過言ではないでしょう。英語で「ジャパン」というように、漆器は私たち日本人が誇る文化でもあります。 ほかの器を引き立て、料理を優しく包み、丈夫で長持ちと、漆器のよさは数々挙げられます。 その奥深い魅力に触れ、日常でもっと漆器と触れ合ってみませんか。 |
お祝いの膳や慶事の器を華やかに彩る金・銀の蒔絵や、おめでたい文様は漆の技法を駆使して表現され、格調と豪華さを演出してくれます。 蒔絵(まきえ) 漆で描いた模様の上に、漆が乾かないうちに金や銀の細紛を蒔いて吸着させ表現する技法で、この発展型として研ぎだし蒔絵や平蒔絵、そして、立体感のある高蒔絵があります。 沈金(ちんきん) 上塗りの仕上がった漆の表面に沈金刃で模様を彫りこみ、そこへ金や銀の箔や消紛を漆で押していく技法です。 シャープな直線や、点彫りを重ねて広い面積を表現したり、写実的な表現も可能です。 堅牢な漆塗りの表面に絵柄を彫りこむことができるのは熟達した沈金師ならではのものです。 彫りこんだ溝に金粉を漆で押して仕上げます。 高蒔絵(たかまきえ) 模様を下地漆や漆を用いて高く盛り上げ、その上に蒔絵を施したものです。 一般の蒔絵より立体感があり、より豪華な加飾といえます。 研ぎ出し蒔絵(とぎだしまきえ) 蒔絵の加飾は、どうしても絵の部分がわずかに盛り上がってしまう。それを平らにするために、仕上げた蒔絵の上に透漆をかけ、研ぎ出して蒔絵と他の部分を平滑にする技法です。 蒔絵の定着と深い落ち着きがだされます。 平蒔絵(ひらまきえ) 一般に蒔絵とよばれるものがこの技法です。 漆で描いた筆あとに金銀の蒔絵紛を吸着させ、固定したものです。 豪華な意匠の屠蘇器などに多く見られる技法です。 |
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漆とは、ウルシの木から採れる樹液のことです。 この漆の使用方法としては大きく分けて二種類の使用法があります。 ひとつは、一般的によく知られている塗料としての漆。そして、もうひとつは、接着剤としての漆です。 樹から採取した漆は生漆とよばれ、乾燥が早いため、した地や接着などに使用されます。 また、塗料としての漆は、クロメやナヤシという工程を行い、純度を高めて作られます。 塗料としての漆は透明なので、鉄粉を加え、黒漆に、朱などを加えて色漆を作ります。 塗料としての漆は、湿気による凝固で乾燥するという特性を持つため、室(むろ)といわれる箱の中に霧を吹き乾燥させます。 |
日本には40以上の漆器産地があり、その半数以上が伝統的工芸品の指定を受けています。 変わり塗り 漆器の表面に「しかけ」で模様を付け、その上に色の違った色漆を何層も重ね、仕上げに表面を砥石で平らに研ぐことで現れる模様のことをいいます。 津軽塗や布目塗も その技法をとりいれて、風情と趣をだしています。 春慶塗 全国に数ある春慶のなかでも飛騨の春慶が有名です。 木地を紅色に染め、透明な透き漆を重ねたことにより、木目がその器の意匠となる美しい漆器です。 使うほどに、その輝きを増す器として人気のある漆器といえます。 布目 木地の上に布を貼って補強をした漆器に表れる独特の柄のことをいいます。 麻などの強い布を布着せし、上から漆をすり込み、また上塗りを重ね、それを研ぎ出すと美しい布目模様が浮き出してきます。やさしい表情が特徴の塗です。 千筋 木地自体にロクロで細い筋目をつけ、それを柄とした技法です。 光と影によって作り出されるその表情のおもしろさと手触りは、素朴な民具を思わせます。 鉋目 目の細い千筋とは違い、やさしいさざなみを思わせる意匠です。 絵のない器の表面にレリーフとして採りいれた技法はシンプルで飽きのこないデザインといえます。 それは手触りを通じて、漆の表情を伝えてくれます。 キンマ 東南アジア、特にミャンマーあたりのタバコケースに使われる技法です。 沈金のように、仕上がった漆の表面に先の尖った刃物で傷をつけ、そこに色漆を埋めてから研ぎ出す加飾法です。 日本では香川漆器がこれにあたる蒟醤の産地です。 |
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